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2009-09-17

「地下鉄のザジ」

 最近映画の話が続いていますが。。。。お気に入りの映画というのは その時の年齢 自分を取り巻く状況、はたまたその日の気分によっても変わったりするものですね しかし一方、幼い頃初めて見てから 何十年も変わらず ずっと好きな映画もあります 私の場合後者にあたるのがこの映画 初めて見たのは いつでしょう?まだ高校生だったかしら?その頃私の家にはビデオデッキが無かったため 観たい映画が深夜放送に掛かったりすれば さあ大変!よく夜更かしをして 眠い目を擦りながら 最後まで見続けたものです 映画が大長編だったりすると それこそ空が白々と明けて来る頃まで 真冬は皆が寝静まった後 暖房も消えた部屋で 寒さに震えながらも。。。
 前置きが長くなりましたが この映画もそんな風に深夜放送で観たのが最初です でも 映画が始まった途端 あっという間に ”ザジの世界”に魅了され のめり込み 眠気や寒さなんて どこかへ吹っ飛んでしまいました それから思い出す度に繰り返し観続け、つい先日も何回目かの”ザジ”を鑑賞 私が初めて観た時からウン十年 この映画が製作されてから 既に半世紀もの時間が流れましたが(製作は1960年)ちっとも色あせる風もなく あの列車がごとごと音を立ててパリへ向かって走っている その列車の走っている線路だけが延々と写され それに口笛のメロディがかぶさるオープニングから 既に”あー また ザジの世界に帰ることが出来るぞ”という高揚感と どこか懐かしい 自分の故郷に戻るような 一種の安堵感が混ざり合い わくわくするやら 安堵するやら!
              tit ZAZIE_DANS_LE_METRO-0(1)
       (この写真は www.arteboutique.com/deta...d%3D4392 より)

 主人公は 母親がボーイフレンドとパリでデートするため伯父さんに預けられた かなりおませな女の子”ザジ” せっかくパリへ来たのに 乗りたかった地下鉄はストで閉鎖中 町を行く彼女が会った どこか可笑しな人々や奇妙な出来事がスクラップ スティック コメディ調に 斬新な映像とスピーディな画面展開で 語られます
 原作は レイモンド クノーの同名小説で 作者は言語実験的な小説の旗手として知られています この「地下鉄のザジ」も 発表された当時 そのストーリー展開よりも 駄洒落や造語をありこちにちりばめた 多種多様な言葉遊びを駆使した実験的な小説として 高い評価を得ました ちなみに私はその昔 この小説の翻訳版を読んだことがありますが やはりここが翻訳の難しさなのでしょう 小説の真の面白さがピンと伝わってこず ちょっとがっかりしたことを覚えています
 さて 特に際立ったストーリーも無い小説をどうやって映像にしたのか ここが監督の腕の見せ所なのでしょうけど 当時28歳だったルイ マル監督は そのクノーの言葉遊びを 見事”映像遊び”に置き換えています そしてまた ルイ マルはその”映像遊び”の舞台に パリあちこちに点在する 美しい近代建築を選んでいます 例えば ザジが伯父さんや 見知らぬ紳士と追いかけっこをするのが パッサージュ パッサージュとは屋根のついたアーケードで パリのそれらは19世紀前半に作られたものが殆どです 鉄材とガラスという素材で美しい曲線を描くパッサージュは まさに近代産業の幕開けの象徴ともなりました 
       passage02.jpg
           ザジが追いかけっこごっこした パッサージュの1つ 
       (http://jampot.jp/shop-zacca/shop...4-08.htm)           
 
 また ザジと見知らぬ紳士は サクレクール寺院に続くモンマルトルの丘、ピル アケム橋の橋脚辺りや はたまたパリの屋根でも延々と 可笑しな追跡ごっこを続けます この一連の流れが まさに監督の映像マジック 映画ってあらゆることが可能なのだなあと 初めて見たとき深く感心したものです
           zazie_dans_le_metro.jpg
           (この写真はwww.movie-highway.com/sys...id%3D305より)
 
 映画のかなり初めの方でも 朝目覚めたザジが寝巻きを着たまま細い廊下を歩いている そして一瞬右手の部屋に入ったかと思うと 直ぐまた廊下に戻ってきた時には きちんと洋服を着替えている。。。居間でいすに座った彼女が 手に持っていた靴をエイと空へ放り投げると 靴は宙を舞い(但し 靴自体は画面には写されず 靴の行方を見ているザジの表情 目線で 観客は靴が空を舞っていることを想像できます)彼女が足元を見ると きちんと靴が足に収まっている。。。そんな何の変哲も無いシーン1つでも 映画のみで可能な技法を駆使して とっても楽しいシーンにしています

 お話のラスト 駅で間一髪 帰りの汽車に間に合ったザジに母親が パリで何をしたの?と質問すると 彼女の答えが ”年をとったわ” この一言に フランス独特のエスプリを感じるのは 私だけでしょうか?
 これから 私の人生で あと何回見るのだろう?いつまでも繰り返し鑑賞して 普段はそっとどこかに締まっておきたい 宝物のような映画です 
          zazie_main-thumb-500xauto.jpg

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No title

へ~、素敵ですね。
小さい頃から映画がお好きだったのねえ。kazueさんは、根っからの映画好きですね! 解説を読ませていただくと、映画ならではの世界観を表現した作品のようですね。原作をどのように映像化するかは、監督の腕の見せ所ですよね。

子どもの冒険ものといえば、私は「エーミールと探偵たち」を思い出します。小学生の頃図書館で借りて大好きだった本です。子どもたちにも薦めましたが、誰も気に入ってくれませんでした。私は、本当におもしろいなあ~とわくわくしながら読んだのですがねえ。「ハリー・ポッター」の洗礼をすでに受けている彼らには刺激が弱すぎるのかも。

最後のザジちゃんの表情、いいですね。屈託がなくて、いたずらっぽい、まさに「ざ・こども」という表情ですね。

No title

June様>「エーミールと探偵たち」!!知ってるー!!私も大好きでした 子供の頃 確かケーストナーでしたか 作者は。。私も子供の頃から探偵小説が大好きで(今でもこれは変わりませんね)子供版の江戸川乱歩シリーズやホームズのシリーズなど 読み耽りました(今 復刻版を書店で見かけますが 懐かしいわ)
 私は後 「長靴下のピッピ」の作者が書いた「名探偵カッレ君」も大好きでした 今の職場にその本があって 見つけたときは思わず借りて読み直しましたわー
 そうですねえ 今の子供は刺激の洗礼を沢山 早くから浴びてますからねえ。。。でも クラシックはいつまでも残ってほしいですよね 名作にはやはり 名作ならではの良さがあるのだから。。。  
プロフィール

Kazue イギリス人の夫と6年余りの英国、スペイン生活を経て 2008年夏 日本へ帰国

Author:Kazue イギリス人の夫と6年余りの英国、スペイン生活を経て 2008年夏 日本へ帰国
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