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2014-04-19

白黒映画~その②

さて もう一本のモノクロ映画は「ネブラスカ」アメリカ映画です アカデミー賞にも何部門にも渡ってノミネートされたので ご存知の方も多いかと思います 主演のブルースダーンは随分とお年を召したなあとびっくりしてしまいましたが この素晴らしき頑固爺さん(?)を演じて 見事カンヌ映画祭の主演男優賞に輝いております

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こちらも白黒映画なのですが「ブランカ二エベス」のコントラストが鮮やかな白黒とは違って もっと淡~い 限りなくセピア色に近い感じのモノクロ画面 それが何とは無くこの映画の舞台になっているモンタナ州及びネブラスカ州の いかにもアメリカ北、中部にありそうな町の雰囲気をよく伝えている気がします 映画の冒頭で100万ドルが抽選で当たったと信じ込んだブルースダーンがネブラスカまで辿り着こうと とぼとぼと雪の残るハイウェイの脇を歩いてくシーンの寒々した雰囲気 何度も賞金が当たった話はインチキだよと言い聞かせても父親は信じないため それなら自分の目で本当かどうか確かめれば親父も諦めるだろうと とうとう次男がネブラスカ州リンカンまで父親を連れて行くことにします その道中 父が昔暮らしていた町を訪れ 親戚や父の旧友達に会うのですが。。。この途中で立ち寄る町がアメリカ内陸部のいかにも寂れた 時代の変化に取り残された小さな田舎町って感じなのですが その情景を白黒で撮ることによって 町の侘しさ、貧しさが一層強く表現されている様に思います 僅かにお年寄りがとぼとぼ歩いているだけで 人気も少なく ただ風に吹かれた枯葉や塵が舞うのみのストリート、父が昔経営していたガレージも今やメキシコ辺りからの移民の手に渡り 一番の親友だと思われた父の嘗てのガレージ共同経営者も 彼が100万ドルを手にしたらしいと知った途端に態度を豹変させるわ 親戚たちは目の色を変えてお金をたかり始めるわ。。。荒涼としているのは町ならず 父親の周りにいる人達もであり この少しざらついた感触のする白黒の映像は 父親の孤独、寂しい心情風景を反映しているかのようです どうもこのブルースダーン演じる男性は元々少し気が弱いところがあるのか 若い時に朝鮮戦争へ行き そのときの体験がトラウマになって人生に臆病になってしまったのか 意志が弱くいつも彼の性格につけ込もうとする人達に囲まれ利用されてきた様な節がある、という事が映画が進むにつれ 次第に次男にも私達観客にも明らかになってきます 唯一愛らしく思慮深い登場人物は父の最初の恋人で 彼女は今でもこの小さな町でローカル新聞社を経営しているのですが この彼女と一緒になっていたら父親の人生も随分と違ったものになっていただろうなあと痛感させられました こう書くと悲しいストーリーの様に思われるかもしれませんが 随所に笑いが散りばめられてストーリーはテンポよく進むし 最後になぜ父が100万ドル獲得にそこまで拘ったのか その理由を知った息子が父の願いを叶えてあげるまでがさりげなく描かれて そこがしみじみとしたペーソスになって良かったなあ ラストシーン、父と息子の絆の象徴の様なピカピカに光る黒いトラックを 父親が驚く旧友達の目の前で意気揚々と運転するシーンはストップモーションで撮影され大層美しかったです 何か吹っ切れた様に 過去と決別するかのように昔の町、過去の知り合い達に手を振りながら走る父と見つめる息子 父はきっとこのトラックは元より 自分の息子もとっても誇らしかったことでしょうね ここから二人の新しい関係が始まるのでしょう 地平線まで続く一本道を行く帰路はとっても違った新鮮な旅になったでしょうね 私達の心に暖かい灯を照らしてこの映画は終ります 
老いた父親を中心に話は展開しますが 次男もまたプライベートで色々と問題を抱えている様子 一緒に暮らしていた彼女には去られてしまうし 仕事は不景気で思うように行かない ニュースキャスターとしてキャリアアップに関わるビックなチャンスを掴んだ兄と比べて冴えない(と自分で思っている)気弱なこの次男も 父の知られざる過去、父の生き方を知って 父親や自分の周りの人達との関係性の再考 ひいては自分自身を見つめ直す最高の機会だったことでしょう 
後 旅の途中で親子が出会った 地平線の彼方まで広がる牧草地のロングショット この牧草地に黒い点が点在していて 初めは何だろうっと思ったのですがよく眼を凝らしてみると草を食む牛だったり。。このショットも美しかったな
   

            

「ネブラスカ」も「ブランカニエベス」も音楽がとても素敵でした!!感動する映画には印象的な音楽がつきものですね!  
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2014-04-09

白黒映画~その①

本来なら秋田の旅行記を書くべきでしょうが 近頃立て続けに見た2本の白黒映画 既に鑑賞してから数週間が経つのに 何故か私の心の中に焼き付いて離れません なので今回はこれらの映画のお話を。。。
以前「アーティスト」がアカデミー賞を獲得してから俄然白黒映画が見直されたのでしょうか?近年徐々に白黒で作られる映画が増えてきている様に思います しかも今回鑑賞した1本「ブランカニエベス」は「アーティスト」同様サイレント映画 正に「アーティスト」に触発されて製作されたかのような映画ですが 白黒映画と一言で呼んでも 当然ですが個々の映画には微妙な違いがあるのですねえ これが今回の発見です

           poster2_convert_20140407080020.jpg
    
まずはスペイン映画の「ブランカニエベス」これは白雪姫を題材に舞台をセビリアに移してのお話 天才闘牛士の娘が継母に疎んじられ冷遇された日々を送りますが 父親譲りの血筋でついに素晴らしい闘牛士としてデビューしたのもつかの間 またもや継母の策略でかじった毒りんごのため永遠の眠りに着いてしまう。。。最後は彼女を密かに愛する小人の男性に見守られながら 今日も彼女を本当に愛する人が眠りから眼を覚ましてくれるのを待ち続けて。。ラスト、ヒロインの閉じられた瞳から大粒の涙が一筋こぼれ落ちたシーンは その身を切られるようなヒロインの悲しさがぐっと胸に突き刺さりました 

      

この映画を見ている間中 白黒映画なのに私はずっと”光”や”色彩”を感じていました 白黒のコントラストがとても強烈で 光と影のコントラストが大層鮮烈なのです それはあのアンダルシア独特の強烈な陽射しを強く思い起こさせます 灼熱の太陽の暑さ ギラギラした眩しさ 乾いた大地 闘牛場の土煙の臭いやスペインのタイル張りの邸宅の独特のヒンヤリとした涼しさなどがフィルムを通じてこちらにビンビン伝わってくるのですね 非常に雰囲気のある映画と申しますか まるで自分自身があのスペインの地に戻って 白雪姫の数奇な運命を傍らで小人達と一緒になってハラハラ、ドキドキ見守っている。。そんな臨場感のある映画でした 
そしてまた スペイン人は顔の造作が大きいし 日本人から見ると時には大げさ?と思わせるほど表情も豊かですから こういう点がサイレント映画にはピッタリのような気がしました サイレント映画なので当然ながら俳優さん達のクローズアップが多いのですが 皆さんの表情がいつもダイナミックで非常に迫力があるため、ぐぐっと惹きつけられるものがあります 時折セルゲイ エイゼンシュテイン監督の「メキシコ万歳」を思い起こさせるような(といってもこの映画を見ながら「メキシコ万歳」を思い出すのは私位だろうなあ。。。)どこを切り取っても素晴らしい写真になっていました(続く)

    

2011-05-06

「阪急電車」

    hankyu.jpg
    (この写真は syounenjack.seesaa.net より)

 4月29日より公開(関西では一足早く23日から)された 映画「阪急電車」を見てきました!原作は有川浩のベストセラー 主演は中谷美紀さん、宮本信子さん等の東宝配給映画 私にしては超メジャーな選択?!と思われるかもしれませんが 実はこの映画 私の地元が舞台なのです!!

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2009-09-17

「地下鉄のザジ」

 最近映画の話が続いていますが。。。。お気に入りの映画というのは その時の年齢 自分を取り巻く状況、はたまたその日の気分によっても変わったりするものですね しかし一方、幼い頃初めて見てから 何十年も変わらず ずっと好きな映画もあります 私の場合後者にあたるのがこの映画 初めて見たのは いつでしょう?まだ高校生だったかしら?その頃私の家にはビデオデッキが無かったため 観たい映画が深夜放送に掛かったりすれば さあ大変!よく夜更かしをして 眠い目を擦りながら 最後まで見続けたものです 映画が大長編だったりすると それこそ空が白々と明けて来る頃まで 真冬は皆が寝静まった後 暖房も消えた部屋で 寒さに震えながらも。。。
 前置きが長くなりましたが この映画もそんな風に深夜放送で観たのが最初です でも 映画が始まった途端 あっという間に ”ザジの世界”に魅了され のめり込み 眠気や寒さなんて どこかへ吹っ飛んでしまいました それから思い出す度に繰り返し観続け、つい先日も何回目かの”ザジ”を鑑賞 私が初めて観た時からウン十年 この映画が製作されてから 既に半世紀もの時間が流れましたが(製作は1960年)ちっとも色あせる風もなく あの列車がごとごと音を立ててパリへ向かって走っている その列車の走っている線路だけが延々と写され それに口笛のメロディがかぶさるオープニングから 既に”あー また ザジの世界に帰ることが出来るぞ”という高揚感と どこか懐かしい 自分の故郷に戻るような 一種の安堵感が混ざり合い わくわくするやら 安堵するやら!
              tit ZAZIE_DANS_LE_METRO-0(1)
       (この写真は www.arteboutique.com/deta...d%3D4392 より)

 主人公は 母親がボーイフレンドとパリでデートするため伯父さんに預けられた かなりおませな女の子”ザジ” せっかくパリへ来たのに 乗りたかった地下鉄はストで閉鎖中 町を行く彼女が会った どこか可笑しな人々や奇妙な出来事がスクラップ スティック コメディ調に 斬新な映像とスピーディな画面展開で 語られます
 原作は レイモンド クノーの同名小説で 作者は言語実験的な小説の旗手として知られています この「地下鉄のザジ」も 発表された当時 そのストーリー展開よりも 駄洒落や造語をありこちにちりばめた 多種多様な言葉遊びを駆使した実験的な小説として 高い評価を得ました ちなみに私はその昔 この小説の翻訳版を読んだことがありますが やはりここが翻訳の難しさなのでしょう 小説の真の面白さがピンと伝わってこず ちょっとがっかりしたことを覚えています
 さて 特に際立ったストーリーも無い小説をどうやって映像にしたのか ここが監督の腕の見せ所なのでしょうけど 当時28歳だったルイ マル監督は そのクノーの言葉遊びを 見事”映像遊び”に置き換えています そしてまた ルイ マルはその”映像遊び”の舞台に パリあちこちに点在する 美しい近代建築を選んでいます 例えば ザジが伯父さんや 見知らぬ紳士と追いかけっこをするのが パッサージュ パッサージュとは屋根のついたアーケードで パリのそれらは19世紀前半に作られたものが殆どです 鉄材とガラスという素材で美しい曲線を描くパッサージュは まさに近代産業の幕開けの象徴ともなりました 
       passage02.jpg
           ザジが追いかけっこごっこした パッサージュの1つ 
       (http://jampot.jp/shop-zacca/shop...4-08.htm)           
 
 また ザジと見知らぬ紳士は サクレクール寺院に続くモンマルトルの丘、ピル アケム橋の橋脚辺りや はたまたパリの屋根でも延々と 可笑しな追跡ごっこを続けます この一連の流れが まさに監督の映像マジック 映画ってあらゆることが可能なのだなあと 初めて見たとき深く感心したものです
           zazie_dans_le_metro.jpg
           (この写真はwww.movie-highway.com/sys...id%3D305より)
 
 映画のかなり初めの方でも 朝目覚めたザジが寝巻きを着たまま細い廊下を歩いている そして一瞬右手の部屋に入ったかと思うと 直ぐまた廊下に戻ってきた時には きちんと洋服を着替えている。。。居間でいすに座った彼女が 手に持っていた靴をエイと空へ放り投げると 靴は宙を舞い(但し 靴自体は画面には写されず 靴の行方を見ているザジの表情 目線で 観客は靴が空を舞っていることを想像できます)彼女が足元を見ると きちんと靴が足に収まっている。。。そんな何の変哲も無いシーン1つでも 映画のみで可能な技法を駆使して とっても楽しいシーンにしています

 お話のラスト 駅で間一髪 帰りの汽車に間に合ったザジに母親が パリで何をしたの?と質問すると 彼女の答えが ”年をとったわ” この一言に フランス独特のエスプリを感じるのは 私だけでしょうか?
 これから 私の人生で あと何回見るのだろう?いつまでも繰り返し鑑賞して 普段はそっとどこかに締まっておきたい 宝物のような映画です 
          zazie_main-thumb-500xauto.jpg

2009-09-08

「お茶と同情」

 1956年製作の米映画「お茶と同情」を見ました 元はこれ ブロードウェイでも上演された舞台劇で 主演のデボラ カーとジョン カーは共に舞台でも同じ役を演じています 監督は「巴里のアメリカ人」等ミュージカル監督としてのイメージが強いビンセント ミネリですが さすがベテラン 手堅くまとめています
             e0040938_033334.jpg
           (この写真はhttp://jazzyoba.exblog.jp/8944746/より)

 物語はニューイングランドの寄宿制男子学校 デボラ カー扮する舎監夫人は 舎監として生徒に与えるのは”お茶と同情”だけ 個々の問題に深入りすべきではないと 体育の教授である夫から常常言われています 彼らの管理する寮に住むトムは 園芸や音楽が好きで 密かに舎監夫人にも恋心を抱く繊細な学生ですが その繊細さゆえに学校では異端視されています 同級生達は”シスターボーイ”とあだ名をつけ彼を笑い者にし 教授やトムの父親までもが”欠陥”の烙印を彼に押しています 唯一トムをいつも庇ってくれた 同室のアルも親からのプレッシャー故 トムの元を去っていきます そんな状況を 今やトムのただ独りの理解者である舎監夫人はハラハラしながら見守りますが ある嵐の晩 トムが”男を証明するために”カフェの給仕女の元へ行こうとする時は 何とかしてこれを止めようと努力します しかし その甲斐も無く女の元へ行ったトムはその女からも”シスターボーイ”と呼ばれ とうとう自殺を企てます 森の中で独り寂しく横たわるトム そんな彼に夫人はキスをし 強く抱きしめるのでした。。。。
 物語は今や著名な作家となったトムの回想に始まり 最後に老いた教授から 元妻の投函されなかった手紙を渡されます その手紙はトムに宛てたもので その中で彼女はある告白をしているのですが。。。。
 主演のデボラ カーは繊細な演技で 微妙に揺れ動く夫人の心のひだを非常に巧みに演じています この人がアカデミー賞に6回もノミネートされながら 遂に受賞できなかったのはハリウッドの7不思議でしょうか?(後に名誉賞を受賞してはいますが)
 しかし 何といっても注目すべき点は 今この映画を見直すと 50年代のアメリカにおける 男性とはこうあるべきという考えにとても驚かされることです 恐らく今では全く当たり前な 音楽を聴き ギターを弾く男性 文学が好きだったり 優しくて 手先も器用で ボタン付けまで自分で出来る男性は異端視され ”男らしくない” ”ゲイなのでは?”と あっという間に決め付けられ のけ者扱いが始まり 教育者までがそのいじめに加担するくだりは まさに隔世の感があります 今なら人権侵害か差別的描写で訴えられかねないようなストーリーです
 けれでも 考えてみると いつの世でも 私たちは自分達と少し違う考え方や価値観を持つ人を仲間はずれにしがちです その 異なる価値観や文化を認めない不寛容さ、無知が人々の間に憎しみの気持ちや争いを起こしているのは 歴史が教えるとおりで そういう意味では この映画も全く過去のお話と笑って済ますことは出来ない気がします 色々なテーマを含んだ 中々考えさせられる映画でした
 余談ですが 舞台用の戯曲では トムははっきりとゲイと表現され ラスト近くの森のシーンでは 夫人は彼に自分の胸を触らせる。。。という行があるそうで 50年代では それは大層センセーショナルな内容だったことでしょう         
プロフィール

Kazue イギリス人の夫と6年余りの英国、スペイン生活を経て 2008年夏 日本へ帰国

Author:Kazue イギリス人の夫と6年余りの英国、スペイン生活を経て 2008年夏 日本へ帰国
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